低気圧のこと

私は低気圧に弱い。

親戚内にはそういうひとがいなかったので、私が臥せって呻いていてもせいぜい夏バテかな、という風に見られていた。当人以外にしんどさの程度は伝わらない。他人の痛みの深さはわからない。

なんでわかってくれないんだ!と喚いても理解は得られないのだとしたら、こちらが手段を尽くしてプレゼンしなければならない。そのためのデータや実例、苦しい現状を言葉に換えてうまく形にしなければ、「低気圧で具合わるい」と言っても「何ナマ言ってんだこいつ」と思われておしまいだ。

ただ、私は実家に帰省したときに臥せたまま耐え切れずリバースしてしまったので、くどくどと説明せずともそのひどさが嘘や過剰な表現ではないことをわかってもらえた。怪我の功名……、いや、その怪我さえなければこれを功名などと呼ばわずにすんだのだが……。

低気圧に影響されてのことではないのだが、母も胃腸が弱いらしい。それが似てか、私もこうして体の弱っている時には胃の苦しさに悶絶することになる。

こういうときにしんどいのがげっぷの出ないことだ。

せり上げるような感覚と、腹部の張る煩わしさがひたすらに続き、立とうが座ろうが寝ようが止むことが無い。どんな体勢を取っても落ち着かないというか、収まるべきところに収まっていないような不自由さに、呼吸まで浅くなる。そしてそれが認識されるとき「吐き気」と呼ばれ、放っておけば(というより今まで放っておくほかに術あることを知らなかったので対処できず)、悪くすれば吐いてしまうという結果につながるのではないか知らんとおもう。

毎度これに苦しめられていたわけだが、今日ネットをうろうろしていて見つけた対策が効果覿面であった。

それが、「青竹踏み」をする、とのことである。

山と竹林が家の背に控える実家ならまだしも、今の一人暮らしの根城には竹を割ったものなど都合よくあるはずもないが、要するに足の裏にぐっと体重をかけられれば良いわけで、椅子の脚だとか、風呂場の入口のところだとかに立って、ぐっぐっと土踏まずやらかかとやらで踏みしめると良いらしい。

これは足裏が胃腑のツボであって云々ということなのかもしれないが、門外漢でそこらへんの知識は全く無いためよくわからない。実感としては、背筋がしゃんとまっすぐになって、諸々の内臓の位置が正されるような気がするのだが、まあ何にせよ苦しむものは藁にも縋る、(よっぽど心身を害す予感が無ければ)とにかく効けばよいのだ。

他に炭酸水や炭酸飲料を飲むという意見もあったが、普段炭酸飲料を飲むたびげっぷの出ないくるしいおもいをしているのでパス。

肩をもむという意見もあったが、悲しいかな傍に手を伸べてくれるひとがいないのでパス。

ということで今後げっぷに苦しむことがあれば足裏をぎゅっぎゅしたいとおもいます。対処方法が見つかってよかった。